世界中で大ヒットし、早くもアカデミー賞の最有力候補として注目されている映画『ジョーカー』を見てきました。
今回はそのラストシーンについて考察しましたので解説します。
なお、この記事では映画『ダークナイト』に出てくるジョーカーとの比較をしています。『ダークナイト』はU-NEXT
目次
映画ジョーカーのラストシーン考察
ラストシーン、、アーサーは精神病棟に入れられ、手錠をかけられたままカウンセラーの黒人女性と面談をしています。そして両親を殺されたブルース・ウェインのことを考えながら突発的に笑います。「何を考えているの?」とカウンセラーがアーサーに問いかけ、「ジョークを思いついた。理解できないさ…」とアーサーは答えます。
その後、軽くステップを踏みながら真っ白な廊下を歩くアーサーの姿。彼の歩く後には真っ赤な足跡が残っています。アーサーは廊下の奥にたどり着くと軽やかにダンスをし、精神病棟の監視員と思われる人に追いかけられ、逃げていきます。
以上がラストシーンです。赤い足跡が血だと思われることから、アーサーがカウンセラーを殺害して精神病院の面談室から脱走を図ったのは間違いなさそうです。
しかし精神病院に入れられていることに関しネットでは、
- 結局どういうこと!?
- 全部アーサーの妄想だったの!?
と物議をかもしております。
そこで私なりにラストシーンを考察し、ネット上で唱えられてる主な3つの説について考えてみました。
(時系列通り説)物語の最後に逮捕され精神病院に入れられた
事件後、そのまま再逮捕され精神病院に入れられたという説です。
一番正論のように思われますが、ネット上では以下の反論があります。
- ジョーカーがそう簡単に逮捕されるわけない
- それじゃ面白くない
映画『ダークナイト』に出てくるジョーカーは、警察の先の先まで読む頭のキレる存在でした。このジョーカーの印象が残っている方だと、「強敵ジョーカーがそう簡単に捕まるわけない・・」と思うかもしれませんが、私はアーサーが変身したジョーカーが警察に再逮捕されたという可能性は十分あると思います。
精神病院を脱出した後、数々の犯罪を積み重ねて(ゆくゆくバットマンと対決する)凶悪ジョーカーが生まれる。というのが私の説です。
(※ただしこの映画は、従来のDCコミックスシリーズとは何の関係もないという前提で作られています。)
後にバットマンとなるブルースがまだ幼い頃の話であるため、ジョーカーが悪のカリスマとして返り咲くまでにはまだまだ伸びシロがあります。
(物語の前説) 過去にアーサーが精神病院に入れられた時の話
過去にアーサーが精神病院に入れられた際の話という説です。
この説が唱えられた理由としてネット上では以下が挙げられています。
- 冒頭の会話で過去にアーサーが精神病院に入っていたことがわかる。
- 冒頭に出てくるカウンセラーとラストに出てくるカウンセラーは同一人物!?
確かに冒頭の会話から、アーサーが過去に精神病院に入っていたことがあるのは間違いなさそうです。しかし冒頭のカウンセラーの女性とラストのカウンセラーはどちらも黒人女性ですが、二人は別の女性であることが確認されてます。
ラストシーンは明らかにアーサーがカウンセラーを殺したという描写であるため、後にアーサーがカウンセラーの女性と面談していることを考えるとつながりにくいです。
よって過去の話である可能性は低いと考えます。
(アーサーの妄想説)物語全体がアーサーの妄想であるということ
ネット上で最も多く唱えられた説がこちらになります。
最初から最後までこの物語全体が、精神病院で隔離されているアーサーの妄想であるという説です。
ソフィとの馴れ初めが全てアーサーの妄想であったことは本編中でも明らかになっていますが、
- アーサーがマレーの番組に出演したこと
- ジョーカーとして讃えられ世間に影響を与えたこと
の2つに関しては、妄想かどうか明らかになってません。
ネットでは、「番組で反響がよかったからって出演オファーが来るのは話が上手過ぎる」「ジョーカーとして悪のカリスマになるというアーサーの願望」など妄想説が唱えられていました。
どこまでが妄想なのか?というのは定かではありませんが、私は以下のように考えます。
- ソフィとの馴れ初め → 妄想
- 仕事をクビ → 現実
- 地下鉄殺人 → 現実
- 同僚の殺害 → 現実
- マレーに馬鹿にされる → 現実
- 番組に招待される → 妄想 or 現実
- マレーを殺害する → 妄想 or 現実
- ジョーカーとしてピエロ達から讃えられる → 妄想 or 現実
いずれにせよ、全てが妄想というのは考えにくいでしょう。
ラストのアーサーの表情・廊下を歩く際の完全にイカれた感じ・何かに酔いしれたダンスなど、一連の行動は全ては本編での事件があったからこそ生まれたものだと思います。
よって精神病院でのラストはアーサーがジョーカーとして生まれ変わったことを示しているシーンだと言えますので、全て妄想オチというの私は考えたくありません。
映画ジョーカーのラストシーン結論
以上の通り、ラストシーンは時系列通り最後の出来事であるというのが私の説です。
監督トッド・フィリップスはこの映画のラストに関して明確な回答は述べてませんので、真相はわかりません。
しかし見た人が勘違いし易いよう、冒頭とラストに似た黒人女性のカウンセラーを配置したりしたことからも、「解釈は観る人の判断に委ねる」というのが監督の意図・姿勢のように思われます。
DCコミックスのジョーカーをベースに、人が悪に染まる過程を描いたこの作品。見ていない方は是非ご覧になってください。
本作品とは異なる、もう1人のジョーカーを描いた映画『ダークナイト