書評

【書評】『1分で話せ』(伊藤羊一)本の内容要約・まとめ

1分で話せ

『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』は孫正義も認めた話し方のプロ伊藤羊一氏の著書であり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019」でグランプリを受賞しました。

実際ビジネスの現場では、会議・プレゼンなど、「話し方」のスキルが求められる場面は沢山あります。

この本では「きれいに話す」ことではなく、自分の伝えたいことを理解してもらい「相手を動かす」ためのメソッドが学べます。

伊藤氏曰く、相手は自分の話を80%も聞いていない、という前提で1分で話をまとめ、伝える必要があるということです。

その組み立て方とは、主張 + 根拠 + 具体例で話をまとめ、相手の左脳(論理的思考)と右脳(感情)を動かすというものです。

主張根拠1具体例1
具体例2
根拠2具体例1
具体例2
根拠3具体例1
具体例2

(左脳を刺激する)1分で伝えるためのロジックの組み立て方

相手に自分の話を理解してもらうには、まず相手の左脳(論理的思考)に自分の話のロジックを伝える必要があります。

主張・根拠とその繋がりを見直す

ロジックを意識した話し方の基本のピラミッド構造が以下です。

主張(この会社が好きだ)根拠1(働きやすい)
根拠2(同僚が素敵)
根拠3(待遇が良い)

伝えたいこと(主張)がまずしっかりあり、それに対して根拠が3つほどあるというのが論理的なな話し方です。主張が欠けていたら「結局何が言いたいの?」となりますし、根拠が欠けていたら「その理由は?」となってしまいます。

最初に結論を述べて自分の主張を明確にし、それを裏付けるための根拠を十分に3つ述べるというのが論理的な話し方です。

また主張と根拠の間に、しっかりとした論理的な繋がりがあることも大切です。

不要な部分を削る

上記のピラミッドをしっかり守っていたとしても、話が上手く伝わらない時があります。それは、不要な言葉が入りすぎていて、自分のロジックが伝わりにくくなっているのです。

余計な情報
  • プロセスを話す(XXと○○を検討しましたが、△△では足りないと思い….□□に決定しました。)
  • 気を使いすぎる(Aさんの意見はXXと○○で良かったですが、Bさんの方も良くて…)
  • 自分の意見とは違うことを言う(A案を押してますが、実はA案にはこんな欠点もあって…)
  • 笑いを入れようとする

日本人はハッキリ述べることを嫌う傾向があるので、”枕言葉”として色々並べようとしてしまいます。しかし本質的ではない情報は話の主旨を分かり辛くしてしまうので、カットしましょう。

話の前提を揃えておく

以上の方法で、短く論理的に話を伝えることはできますが、自分と相手との間で前提が異なっていると上手く噛み合いません。

こんな事例において、今の時代では、このコミュニティでは、などと、主張をする前に、話の大前提となる部分を抑えておくようにしましょう。

中学生でもわかる簡単な言葉で

難しい言葉を使うと、あたかも凄い話をしているかのように見えますが、相手に伝わらなければ全く意味がありません。

中学生でも理解できるくらい、平易な表現で話すように心がけましょう。

よく難しい専門用語を使って話すインテリ気取りの人がいますが、「本当に頭のいい」人は万人に分かりやすいように話すものです。

(右脳を刺激する)1分でその気にさせるためにイメージを想像させる

以上の方法により、自分の話を論理的に相手に理解してもらうことができます。

しかし、理解しただけは人は動きません。相手に行動を促すには、左脳だけでなく右脳(感情)にも働きかける必要があります。

伝える相手に、頭の中でイメージさせることが大切です。

相手にイメージしてもらう
  • ヴィジュアルを見せる(言葉だけではわかりにくいので、写真・絵・動画を使って説明する。)
  • 具体例で示す(根拠に紐づいた具体例を示す。)
  • 「想像してみてください」と言う(具体的なイメージを持ってもらうよう直接お願いする。)

1分で動いてもらうための方法

以上の方法で相手の左脳・右脳両方を刺激し、自分の話を理解してもらうことができます。これまでに1分もかかりません。

これに加え、最後にもうひと押しするれば相手は動いてくれます。

キーワードで示す

上述したように、相手は自分の話を80%も聞いていません。

ですから、自分の話の内容を端的に一言のキーワードで示せると、相手の記憶にしっかり残りやすくなります。

例えば政治においても、「一億総活躍社会」「地方創生」などとキーワードを多様してます。

人前で話すときの4つのポイント

以下のポイントを意識すると、人前で話す際に相手の受け取り方が大きく変わります。

人前で話すときの4つのポイント
  • 聞き手をみる
  • 動きをつける
  • 対話するように(強調すべきところは強調する。)
  • 普段より3秒長く間を取る

相手の立場に立って話す

自分の話したことを相手がどのように理解しているか、というのは自分の主観ではわかりません。大切なのは、話している自分と客観的にみられることです。

  • 心の中で自分を客観的にみる
  • 客席に座り相手の立場で自分を客観的にみる

自分自身が相手にどう映っているかを考え、自分の問題点を修正していく。これはビジネスリーダーににとって必要な能力です。

1分で伝える伝え方のパターン

自分の話を相手が理解し動いてもらうには、いくつか伝え方のパターンがあります。

代表的なプレゼンのフレームワークには以下があります。

プレゼンのフレームワーク
  • Summary(まとめ)ー Detail(詳細)ー Summary(まとめ)
  • Point(主張)ー Reason(根拠)ー Example(例示)ー Point(主張)
  • Problem(問題)ー Change(変化)ー Solution(解決策)ー Future(未来)

『1分で話せ』のまとめと感想

本の内容をまとめると、「結論」→「根拠」→「具体例」で左脳と右脳を刺激しながら相手に理解してい動いてもらう。ということです。相手を動かすための話には、1分もあれば十分ということを学びました。

日本人は相手に配慮し、遠回しに言うクセが染み付いているせいか、どうしても話が長くなってしまう傾向があります。しかし、

「話が長いやつは仕事ができない。」

これは私が社会人になってから言われた、一番衝撃的な言葉です。ダラダラ話す人よりも、要点を整理して話せる人の方が優秀ということですが、この本を読んで改めてその意味を実感しました。

また、自分が伝えたい明確な主張をもつべき」という重要さにも気づきました。この本で学んだ話し方は全て主張ありきというのが前提になっているので、まずは自分の伝えたいメッセージを意識して話すべきだと強く思いました。それが相手を動かす」ための最大のメソッドなのかもしれません。